クリュイタンス&トリノRAI響によるオネゲルの≪典礼風≫を聴いて

クリュイタンス&トリノRAI響によるオネゲルの≪典礼風≫(1962年ライヴ)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
意外にも、クリュイタンスはこの作品のセッション録音を遺しませんでした。そのため、とても貴重なライヴ音源だと言えましょう。
頗る鮮烈な演奏となっています。音像がクリアでもある。このことは、出だしから既に、際立ったものとなっている。オネゲルの作品に相応しい「凶暴さ」のようなものも、克明な形で刻まれている。
とは言いましても、粗野であったり、品性を欠いていたり、といったものが微塵も感じられないのが、いかにもクリュイタンスらしいところ。アグレッシブで、押し出しの強い演奏が展開されていつつも、エレガントな雰囲気が立ち昇ってくる演奏となっています。とても薫り高い。そして、凛々しくもある。とりわけ、緩徐楽章である第2楽章では、あたかも桃源郷が広がるかのようにして夢想的なまでの美しさを湛えながら、雅趣に溢れた音楽が鳴り響いている。
そのうえで、生命力の豊かな演奏となっているのであります。オネゲルならではのリズミカルな運動性といったものも、存分に生かされている。しかも、音楽が空回りするようなことは皆無。「凝縮度の高い演奏になっている」、といった表現は必ずしも適切ではないかもしれませんが、優美さやしなやかさの中に、堅固な構成を見出すことのできる演奏だと言いたい。
クリュイタンスの美質がクッキリと刻まれていて、それと同時に、作品の魅力を堪能することのできる、見事な演奏であります。





