アーメリング&デ・ワールト&サンフランシスコ響によるラヴェル、デュパルク、ドビュッシーの声楽作品集を聴いて
アーメリング&デ・ワールト&サンフランシスコ響によるラヴェル、デュパルク、ドビュッシーの声楽作品集(1981年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
収蔵されている作品は、下記の通り。
ラヴェル ≪シェエラザード≫
デュパルク ≪悲しき歌≫≪旅へのいざない≫
ドビュッシー ≪選ばれし乙女≫
アーメリングならではの、清潔感を帯びていて、かつ、暖かみを湛えた歌が繰り広げられています。とても真摯でもある。そのうえで、フランス音楽に特有の、精妙な音楽世界が広がってゆく。
媚びを売るようなところは微塵も感じられず、率直にして、清純な歌が披露されています。それでいて、そこはかとなく妖艶な空気が漂ってくる。それは、至純な妖しさ、とでも呼べそうなもの。そして、頗るエレガントでもある。≪選ばれし乙女≫などでは、「艶めかしさを伴う可憐さ」とでも言いたくなるような表情を見せてくれたりもしている。
更に言えば、全編を通じて、きめ細やかな歌いぶりが示されていて、かつ、情感豊かでもある。素朴でありつつも、洗練味の感じられる歌となっている。
そのようなアーメリングの歌いぶりに対して、デ・ワールトもまた、誠実にして丹念な音楽づくりを施してくれている。
そんなこんなによって、端正にして、色彩鮮やかで艶やかで、格調高くて雅趣に富んでいて、そのうえで、愛情に溢れている音楽が響き渡ることとなっている。
アーメリングの魅力がそこここに滲み出ている、なんとも素敵なフランス音楽集であります。