ラサール弦楽四重奏団によるベートーヴェンの弦楽四重奏曲第14番を聴いて

ラサール弦楽四重奏団によるベートーヴェンの弦楽四重奏曲第14番(1977年録音)を聴いてみました。

この作品は、弦楽四重奏曲第15番とともに、好きとか嫌いとかを超越したところに聳え立つ、私の崇敬する音楽であります。そのようなこともあり、この作品に対峙する為には、気力も体力も充実していなければ向かい会うことができない。逆に言えば、そのような状態でなければ、この作品を聴こうという気にはなれない。
とりわけ、ラサールSQによる演奏を聴くとなれば。この、比類なきまでに凝縮度の高い演奏に接するとなれば。それはもう、心を虚無にして、ストイックにならなければならない。まるで、修験者にでもなったかのように。

なんと清浄で厳粛な音楽世界が広がっていることでしょう。威容を誇るような音楽でありつつも、慰めに満ちてもいる。
聴いている間じゅう、打ちひしがれたかのように頭を垂れ、自己の内部をじっと見つけるかのごとくに、この演奏に耳を澄ませていた。完全に、心をこの音楽に持って行かれながら。