パレー&デトロイト響によるルーセルの≪蜘蛛の饗宴≫を聴いて

パレー&デトロイト響によるルーセルの蜘蛛の饗宴1956年録音)を聴いてみました。

なんとも克明で、精緻な演奏であります。音の線が、一本一本クッキリと見えてくるような演奏となっている。唖然とするほどにクリアで、細密でもある。それ故に、あたかもエッチング画を眺めているかのよう。
これらのことは、パレー&デトロイト響のコンビによる多くの演奏に共通した特徴であると言えそうなのですが、そのような性格が、この演奏ではより一層顕著に現れているように思えます。
しかも、バレエ音楽としての躍動感や弾力性にも全く不足はない。律動感に溢れてもいる。そう、音楽が存分に弾んでいて、生き生きとしていて、力感に溢れた演奏となっているのであります。そして、色彩鮮やかでもある。
そのうえで、カラッとパリッとしていつつも、情趣深い音楽が鳴り響いている。ドライなようで、エレガントでもある。この点につきましても、他の多くのパレーによる演奏に共通していて、パレーならではの味わいだと言えましょう。

パレー&デトロイト響のコンビの美質をタップリと味わうことができ、かつ、この作品の魅力を堪能することのできる演奏。
聴いていてワクワクとした気分にさせられる、なんとも素敵な演奏であります。