ラトル&バーミンガム市響によるプロコフィエフの≪スキタイ組曲≫を聴いて
ラトル&バーミンガム市響によるプロコフィエフの≪スキタイ組曲≫(1992年録音)を聴いてみました。
なんとも鮮烈な演奏となっています。切れ味が鋭く、躍動感に満ちている。そして、この作品に相応しい凶暴性を持ち合わせてもいる。
それでいて、決して破天荒な演奏となっていません。土臭くもない。むしろ、洗練味が感じられます。その洗練味の向こうに、野蛮な性格が潜んでいる。そんなふうにも言えそうな演奏となっている。
色彩感も、そして手際も、頗る鮮やか。目鼻立ちがクッキリとしていて、明晰。音楽運びがキビキビとしていて、かつ、起伏に富んでいる。そして、眩いまでにカラフルでもある。エネルギッシュで、ドラマティック。そんなこんなが、なんとも痛快であります。
総じて、とても率直な演奏であると言えましょう。作品に真摯に切り込んでいき、そのうえで、この作品の生命力を的確にすくい上げ、聴き手の前に提示してくれている演奏。
そのため、この作品の音楽世界が、生き生きと描き尽くされている。
ラトルが37歳のときの記録になりますが、ラトルの卓越した手腕が遺憾なく発揮されている演奏が繰り広げられている。
快演であります。