ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルによるショスタコーヴィチの交響曲第10番を聴いて

ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルによるショスタコーヴィチの交響曲第10番(1976年 ライヴ)を聴いてみました。

凄まじいまでに鮮烈な演奏が展開されています。そして、強い緊張感を持った音楽が鳴り響いている。それはもう、怖いぐらいに。その徹底ぶりに感服するとともに、畏敬の念すら抱いてしまう。
キッチリとした隈取りによる克明な音楽づくりが施されながら、音楽は推し進められてゆく。彫琢は頗る深い。そのうえで、感情を押し殺してシリアスに音楽を奏でてゆくといった演奏ぶりであるが故に、尚さらのこと感情の奥底がえぐり出されえてゆく。そのような音楽になっていると言いたい。
しかも、研ぎ澄まされた感性に裏打ちされた冷徹とも言える演奏ぶりであり、かつ、場合によっては凄惨でもありながら、音楽は途轍もなく熱く燃え滾っており、エネルギッシュにしてドラマティック。それはもう、並外れた強い圧力を備えた演奏となっています。
更には、頗る精緻でもある。合奏力の高さは、唖然とするほど。どんなに熱くて激しい演奏が展開されても、粗くなるようなことは微塵もない。なおかつ、凝縮度の高い音楽が鳴り響くこととなっている。
そんなこんなによって、この作品の音楽世界が、頗るクリアに浮かび上がってくる。

鉄壁の演奏。更に言えば、破格の偉大さを有している演奏。その様に、聴いていて震え上がってしまう。
ムラヴィンスキーの神髄が刻まれていると言えそうな、なんとも見事な演奏であります。