シノーポリ&シュターツカペレ・ドレスデンによるR・シュトラウスの≪英雄の生涯≫を聴いて

シノーポリ&シュターツカペレ・ドレスデン(SKD)によるR・シュトラウスの≪英雄の生涯≫(1991年録音)を聴いてみました。

キリッと引き締まっていて、かつ、スッキリと纏め上げられている演奏となっています。そのうえで、清潔感に溢れている。
こういった特徴は、シノーポリ&SKDのコンビによる演奏の多くで見受けられることでありますが、R・シュトラウスのような「オーケストラ音楽の精華」が示されていると呼べそうな作品においては、殊更に、こういった特質があからさまな形で現れてくると言いたい。そう、ここでの演奏には、このコンビのエッセンスが克明に刻まれている。そんなふうに言いたくなります。
そのうえで、やや遅めのテンポを基調としていながらも、躍動感に満ちた演奏が繰り広げられている。と言うよりも、この作品が宿している生命力を、必要十分に解放した演奏となっていると呼べば良いでしょうか。そのために、大仰であったり、過剰に華美な演奏になっていたり、といったことはないものの、生気に富んだ音楽が鳴り響くこととなっています。この点については特に、「英雄の戦場」において顕著。そして、全編を通じて、底光りするような輝かしさを秘めた演奏が繰り広げられることとなっている。
そういったことの結果として、R・シュトラウスならではの華麗にして絢爛たる音楽世界が、高い品格を持ちながら広がることとなっています。
更には、光沢のある美しい響きで埋め尽くされている。この点は、SKDの美質に依るところが大きいと言えましょう。
そんなこんなのうえで、ズシリとした手応えを持った演奏となっている。更に言えば、清々しさを備えているR・シュトラウス演奏となってもいる。

充実感いっぱいで、かつ、R・シュトラウスを聴く歓びを存分に味わうことができ、そのうえで、SKDの魅惑的な響きを堪能することのできる、素敵な演奏。そんなふうに言いたくなる演奏であります。