セル&クリーヴランド管によるハイドンの≪ロンドン≫を聴いて

セル&クリーヴランド管によるハイドンの交響曲集から第104番≪ロンドン≫(1954年録音)を聴いてみました。

キリっと引き締まっていて、かつ、キビキビとした音楽が奏で上げられています。その様は、実に高潔でもある。
それでいて、堅苦しいところは皆無。硬質な音楽が鳴り響いていながらも、優しさに満ち溢れている。そう、クリスタルのような透明感を備えていて、ピュアな美しさを湛えながら、優美な音楽が奏で上げられているのであります。
このことは、セルによる演奏の多くから感じ取ることができるのですが、ハイドンのような、簡潔にして、純真無垢な音楽での演奏に接していると、上で述べた性格が、殊のほか鮮やかに浮かび上がってくる。
しかも、しなやかで、伸びやかな演奏が繰り広げられている。溌溂としていて、生気に富んだ演奏となってもいる。そして、屈託がなくて、ハイドンならではの人懐こさや、「お茶目な」雰囲気が、十分に滲み出てもいる。それでいて、媚びを売るような態度は微塵も感じられない。どこまでも品格の高い音楽が響き渡っているのであります。
そのうえで、ハイドンの最後の交響曲となったこの作品に相応しい壮大さにも不足はない。

そんなこんなを一言で表すならば、「美しい」ということになるでしょう。そう、なんとも美しい佇まいをした音楽が鳴り響いているのであります。
セルの神髄といったものが刻み込まれていると言えそうな、破格なまでに素晴らしい演奏であります。