ミュンシュ&ニュー・フィルハーモニア管によるレスピーギの≪ローマの松≫と≪ローマの噴水≫を聴いて

ミュンシュ&ニュー・フィルハーモニア管によるレスピーギの≪ローマの松≫と≪ローマの噴水≫(1966年録音)を聴いてみました。
ミュンシュ最晩年の録音で、レスピーギの作品は、これが唯一のセッション録音となりました。
(ちなみに、≪松≫はボストン響との1961年のライヴ録音が遺されています。また、それ以外にもライヴを音盤化したものがあるかもしれません。)
さて、当盤での演奏はと言いますと、概して遅めのテンポを採りながらの貫禄タップリなものとなっています。なおかつ、ミュンシュならではの豪快な演奏が繰り広げている。更には、ミュンシュにしては珍しくと言いましょうか、あからさまなまでに色彩感に溢れた煌びやかな演奏ぶりが示されている。そういった様は、≪松≫の冒頭部分から如実。キラキラと輝く音楽が、推進力豊かに奏で上げられている。
それでいて、≪松≫の第2曲目、「カタコンバ付近の松」では、謹厳で敬虔であり、かつ、情感豊かな音楽が鳴り響いている。また、それ続く「ジャニコロの松」では、抒情性に満ちた雰囲気に包まれている。その歌いぶりは、切々たるものとなってもいる。そして、終曲の「アッピア街道の松」は、とりわけゆったりとしたテンポで推し進められていて、重戦車が行くかのような迫力を備えながら、風格豊かな演奏が展開されている。かように、とても起伏に富んだ演奏が繰り広げられているのであります。しかも、いずれにおいても、持って回ったところのない率直な音楽づくりによって、それぞれの表情付けが為されている。
また、抒情性の豊かさであれば、≪噴水≫の冒頭が、この音盤の中では最右翼でありましょう。なおかつ、冴え冴えとしてもいる。夜明けの澄んだ空気感が鮮やかに描き出されてもいる。また、≪噴水≫という作品は、夜明けから、朝を迎え、真昼を経て黄昏どきに至るという、1日の時間経過の中での「光彩の変化」といったものが描写されたものとなっている訳ですが、ここでの演奏では、その様が実に鮮やかに描き出されている。しかも、第3曲目の「真昼のトレヴィの噴水」での昂揚感は、実に見事。冒頭で書いた「ミュンシュならではの豪快な」演奏ぶりたるや、ここに極まれり、と言いたい。
ミュンシュにとって、とても珍しいレスピーギではありますが、この両曲の魅力を素直な形で味わうことのできる、素敵な1枚であります。





