マゼール&バイエルン放送響によるR・シュトラウスの≪ツァラトゥストラかく語りき≫を聴いて

マゼール&バイエルン放送響(BRSO)によるR・シュトラウスの≪ツァラトゥストラかく語りき≫(1995年録音)を聴いてみました。
マゼール(1930-2014)は、1993年から2002年にかけてBRSOのシェフを務めていましたが、その期間の同コンビはR・シュトラウスの管弦楽作品を積極的に録音しており、5枚分のCDを制作しています。当盤は、その中の1枚。
さて、ここでの演奏はと言いますと、気を衒ったところのない、ストレートなものとなっています。必要以上に華美を装ったり、騒ぎ立てたりするようなことはしない。じっくりと腰を据えて、真摯な姿勢を貫きながらR・シュトラウスの音楽が奏で上げられてゆく。
冒頭の有名なテーマから、風格豊かな演奏ぶりが示されていて、音楽をタップリと鳴らしてくれています。実に堂々と、音楽が開始されている。
その後、音楽が本格的に動き始めると、精緻な演奏が繰り広げられることとなる。しかも、頗る滑らかに。自然な息遣いの中に、緻密な音楽が鳴り響いてゆくのであります。そして、豊饒な音楽世界が描き出されてゆく。そのような演奏ぶりが、R・シュトラウスの音楽には、誠に似つかわしいと言いたい。更には、この作品が元来持ち合わせている起伏の大きさや、ドラマティックな感興も過不足なく表されることとなっている。
更に言えば、過度に分析的になったり、鋭角的になったり、といったところは皆無。1970年代から80年代辺りのマゼールは、今触れたような性格が出てくることもしばしばだった思っていますが、ここではまろやかで気宇の大きな演奏が繰り広げられています。
そのうえで、BRSOの、高い機能性と、スリムでいてグラマラス(この両者が矛盾していない)な響きがまた、大いなる魅力を生んでくれている。
聴いていて気分が煽られるようなことはないものの、充実感たっぷりな音楽にドップリと身を浸すことのできる演奏。そんなふうに言えましょう。
マゼールの円熟ぶりを窺うことのできる、素敵なR・シュトラウス演奏であります。






