コルボ&リヨン歌劇場管によるモンテヴェルディの≪オルフェオ≫を聴いて

コルボ&リヨン歌劇場管によるモンテヴェルディの≪オルフェオ≫(1985年録音)を聴いてみました。合唱は王室礼拝堂声楽アンサンブルで、合唱指揮はヘレヴェッヘ。
主な配役は、下記の通りであります。
オルフェオ:ジーノ・キリコ(Br)
エウリディーチェ、希望、エコー:オードレイ・マイケル(S)
使者:キャロリン・ワトキンソン(A)
プルトーネ、カロンテ:フランジスコ・ヴートシノ(Bs)
アポロ:エリク・タピー(T)

オペラという音楽ジャンルが誕生したのは、1597年だと言われています。
ときは、ルネサンス後期とバロックとの境に接しているような時代。フィレンツェで、古代ギリシャの演劇を復興しようという動きが始まり、それをきっかけとして、ギリシャ悲劇を模範に歌うような台詞を用いる劇が考えられたことが、オペラの起源となっている。
それから10年が経った1607年に生み出された作品が、モンテヴェルディによる≪オルフェオ≫になります。モンテヴェルディが作曲した最初のオペラであり、かつ、黎明期と言える時期に産み出されたオペラ作品の中でも、表現の多様性や、作品の随所で示されてゆく劇的な音楽づくりによって、破格の生命力を宿している音楽となっている。そんな、記念碑的なオペラなのであります。

さて、このコルボによる≪オルフェオ≫を聴いての印象について。
実に生き生きとしていて、明朗で輝かしく、そして、清澄な演奏となっています。
キビキビとしていて、躍動感に満ちている。キリっとした表情を湛えていつつ、暖かみがあり、弾力性を帯びてもいる。なおかつ、それぞれの曲想においての喜怒哀楽の表出が鮮やかでもある。そう、とても劇的な演奏ぶりが示されているのであります。ある種の祝祭的な雰囲気も見事に描き出されており、精彩に富んでいるとも言いたい。
更には、息遣いが自然で、かつ、豊か。そして、描写が克明で、目鼻立ちのクッキリとした音楽が鳴り響いている。
そのうえで、虚飾を排した至純な演奏ぶりが、なんとも清々しい。なおかつ、無垢な美しさを湛えている。しかも、ひたむきな音楽となっていて、真実味が強くもある。
そんなこんなによって、決して多くない音の中から、簡潔にして、豊饒な音楽が鳴り響くこととなっている。それも、とてもしなやかな形を採りながら。
歌唱陣も、いずれも真摯で、かつ、清らかな歌いぶりを示してくれています。そのような中において、オルフェオを歌うキリコは、適度にドラマティックでもある。

今から400年以上前に誕生した、モンテヴェルディの≪オルフェオ≫。その清浄で美しい音楽世界を、爽やかに、そして簡潔明瞭な中にも壮麗さを浮かび上がらせながら気高く奏で上げられてゆく様は、誠に見事なもの。
オペラ史の中で、燦然と輝くこの傑作オペラの世界に、ドップリと身を浸すことのできる演奏。いやはや、実に素晴らしい演奏であります。