スクロヴァチェフスキ&ケルン放送響によるプロコフィエフの《ロメオとジュリエット》抜粋を聴いて

スクロヴァチェフスキ&ケルン放送響によるプロコフィエフの《ロメオとジュリエット》抜粋(1994,95年 録音)を聴いてみました。

収録時間は、およそ78分間。このバレエ音楽は、全曲を演奏すると約2時間半を要するため、概ね半分のボリュームが抜粋されていることになります。

晩年には「円熟の巨匠」と評されたスクロヴァチェフスキ(1923-2017)。ブルックナーを筆頭に、ドイツ音楽での評価が高かったと言えそうですが、1960年前後のマーキュリーレーベル所属時代は、どちらかと言えば「キワ物担当」的な存在でありました。
そのようなスクロヴァチェフスキが、晩年に差し掛かろうとしていた時期(ザールブリュッケン放送響とのブルックナー交響曲シリーズが録音開始されたのが1991年になります)に録音したプロコフィエフ。その演奏はと言いますと、丹念に磨き上げられた、精緻なものとなっています。頗る見通しが良くもある。
殊更にエッジの効いた演奏ぶりだ、ということはないものの、輪郭のクッキリとした音楽となっていて、かつ、鮮烈な演奏が繰り広げられています。音楽が混濁するようなこともない。そう、不純物の混ざっていない、透明度の高い演奏だと言えそう。もっと言えば、緻密で、解析度の高い演奏となっている。
しかも、十分にドラマティックな演奏となっている。推進力や躍動感にも不足はない。そして、詩情豊かなナンバーでは、抒情的な音楽が奏で上げられている。そんな、「痒いところに手の届いている」演奏だとも言えそう。
更には、放送局に所属するオケに特有の、ニュートラルな響きや、機能性の高さや、といったものが反映されていて、そのことがまた、この演奏の性格を際立たせてくれているようにも思えます。

話題に上ることの少ない音盤かもしれませんが、この作品の穴場的な存在だと言えましょう。広く音楽愛好家に聴いてもらいたい1枚であります。