ラトル&ロンドン響によるブルックナーの交響曲第7番を聴いて

ラトル&ロンドン響によるブルックナーの交響曲第7番(2022年ライヴ)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

ラトル&ロンドン響によるブルックナーの交響曲第7番は、当盤と同じ2022年に来日した折の京都公演で、実演に接しています。
その演奏はと言えば、肌触りが滑らかで流暢なブルックナー演奏、という印象を受けたものでした。それでいて、サラサラと流れていた訳ではなかった。先を急ぐようなことはなく、たっぷりと音楽を鳴り響かせていた。アゴーギクの変化が大きく、かつ、自然であり、歌わせるべき箇所では、決して粘ることはないもののジックリと歌わせていた。音楽を開放させるべき箇所では、清々しいまでに伸びやかで晴れやかであった。そんなこんなによって、全体的に、響きの純度が高くて、歩みには淀みがない、清澄な世界が開けてゆく、といった演奏になっていたのでありました。
しかも、ロンドン響の響きはニュートラルなものであり、かつ、このオケならではの機能性の高さが存分に発揮されていた。そのことがまた、演奏の純度を高めてくれていたものでした。
そのような美点を認識したうえで、これはとても欲張りな不満ではあるのですが、あまりに整い過ぎていたように思えたことが悔やまれたものでした。

さて、当盤での演奏も、京都で聴いた演奏を思い起こさせるものとなっています。すなわち、滑らかで、整然としていて、清澄なブルックナー演奏が展開されている。それでいて、振幅が大きくて、ドラマティックな感興を備えてもいる。更には、第2楽章では、哀歌と呼ぶに相応しく、切々と歌い上げられている。それは、まさに鎮魂するための音楽となっている。
そのような音楽が、誠にクリアな形で奏で上げられてゆくのであります。仕上げが頗る丹念でもある。音盤に刻まれたものだということもあって、解像度は実演よりも高められているようにも思われる。更に言えば、ラトル&ロンドン響のコンビが為し得た「機能美」が際立つこととなってもいる。
しかも、音盤での感傷となりますと、実演と比べると冷静に聴くことができます。それ故に、ここでの整然としていて、瑕疵と言ったものが見当たらなくて、かつ、機能面の高さがアピールされている演奏に、強く惹かれながら聴き進めていったものでした。

ブルックナーに対する演奏だ、といったことは抜きにして、演奏自体の純度の高さを存分に楽しむことのできる音盤。そんなふうに言えるのではないでしょうか。