ムローヴァ&カティア・ラベックによるストラヴィンスキーの≪イタリア組曲≫とラヴェルのヴァイオリンソナタ第2番を聴いて

ムローヴァ&カティア・ラベックによるストラヴィンスキーの≪イタリア組曲≫とラヴェルのヴァイオリンソナタ第2番(2005年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
カティア・ラベックは、ピアノ・デュオとして活躍しているラベック姉妹の姉のほうであります。
ストラヴィンスキーの≪イタリア組曲≫は、≪プルチネルラ≫をヴァイオリンとピアノためのデュオ作品に編曲した、6曲から成る組曲。
ここでの演奏はと言いますと、知的で、凛としたものとなっています。そのうえで、冴え冴えとしている。
なるほど、熱の籠った演奏が繰り広げられています。とは言いましても、力で押し切ろう、といったような気配は全く感じられない。それよりも、もっと、理知的な演奏ぶりが示されている。そのために、ホットでありつつもクールな感覚が備わったものとなっている。更に言えば、ストイックな雰囲気が漂っている。こういった辺りは、ムローヴァの多くの演奏からも感じ取れること。その意味では、とてもムローヴァらしい演奏だと言えましょう。
そのうえで、テクニックには切れがある。それ故に、鋭利な音楽が鳴り響くこととなっています。例えば、第3曲目の「タランテラ」では、敏捷性の高い演奏が繰り広げられている。
その一方で、第2曲目の「セレナータ」や第4曲目の「ガヴォット」では、音楽が切々と歌い抜かれている。また、終曲では、端々から、伸びやかで、かつ、艶やかな歌が聞こえてくる。
そんなこんなによって、なんとも端正で、かつ、表情豊かな音楽が奏で上げられているのであります。とても瑞々しくて、清潔感に満ちてもいる。そして、ピュアな美しさを湛えている。
そのようなムローヴァの音楽づくりに対して、ラベックがまた、切れ味抜群の演奏を繰り広げられています。リズム感が、とても良い。そして、こちらからも、瑞々しい感性が滲み出ている。それだけに、ムローヴァの共演者としては最適だと言えそう。
もう一方のラヴェルのヴァイオリンソナタでも、ストラヴィンスキーでの演奏で述べてきたことが、ほぼ当てはまります。
と言ったうえで、作品の性格にも依るのでしょう、冴え冴えとした感覚は、こちらの方で、より強く感じられます。そして、よりストイックでもある。
しかも、第2楽章の「ブルース」では、なんとも妖艶な音楽が鳴り響いている。それでいて、品格の高さを保っている。
そんなこんなのうえで、ムローヴァもラベックも、とても知的な演奏を繰り広げてくれている。
両曲ともに、ムローヴァとラベックの魅力を堪能することのできる、なんとも見事な、そして、素敵な演奏であります。





