シノーポリ&ニューヨーク・フィルによるスクリャービンの≪法悦の詩≫を聴いて

シノーポリ&ニューヨーク・フィルによるスクリャービンの≪法悦の詩≫(1988年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

シノーポリにしては珍しくと言いましょうか、ふくよかで骨太で、カロリーの高くて、ドラマティックな演奏が繰り広げられています。その点は、ニューヨーク・フィルの体質が影響しているのかもしれません。
なるほど、序奏部では精妙な彩りをした巧緻な演奏ぶりが示されていますが、主部では力感に溢れていて、強い前進力を伴った音楽が奏で上げられています。起伏の大きな演奏となっている。そして、とても頑健な音楽が鳴り響いている。
そのうえで、スクリャービンならではの、眩いまでの色彩感もシッカリと出ている。音楽が存分にうねっており、めくるめくような音楽が鳴り響いていて、絢爛たる音楽世界が描き出されています。
とは言うものの、力づくな演奏になっていたり、ケバケバしい演奏になっていたり、といったことはありません。玄妙な味わいを湛えているのが、いかにもシノーポリらしいところだと言えましょう。
なお、この作品で大活躍するトランペットは、やはりあまり押しつけがましさがないものの、朗々と、そして滑らかに奏で上げられている。そのうえで、充分な輝かしさを備えたものとなっている。そのような演奏ぶりが、シノーポリの志向する音楽に相応しいように思えます。

聴き応え十分で、ズシリとした手応えの残る演奏。そんな、素敵な演奏であります。