マッケラス&ロイヤル・リヴァプール・フィルによるラフマニノフの交響曲第3番を聴いて

マッケラス&ロイヤル・リヴァプール・フィルによるラフマニノフの交響曲第3番(1989年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

マッケラスならではの、ケレン味のない端正な演奏が繰り広げられています。スッキリと纏められていて、かつ、晴朗で清潔感に溢れた音楽が奏で上げられている。
過度に感傷的になることがなく、甘ったるい表情を見せるようなこともない。もっと言えば、ロマンティシズムに溺れるようなことがない。そのうえで、凛とした表情を湛えた音楽が鳴り響いている。目鼻立ちがクッキリとしてもいる。
とは言うものの、必要十分に艶やかな音楽となっています。ラフマニノフ独特のメロディアスな美しさにも不足はない。充分に生気に富んでもいる。そして、音楽が豊かに息づいている。そういった表情が、整然とした音楽づくりの中から、ごく自然に滲み出しているのが、なんとも尊いところ。それは、マッケラスの類稀なる音楽性ゆえなのだと言えましょう。
やるべきことをシッカリと果たしている演奏だとも言いたい。
そういった演奏ぶりからは、音楽への献身的な接し方や、作品への忠誠心のようなものが窺えます。このことは、マッケラスの多くの演奏から感じ取ることのできるのですが、この演奏でも例外ではなく、そのような演奏態度に心からの敬意を抱かずにはおれない。

マッケラスの美質の詰まっている演奏。そのうえで、ラフマニノフの魅力を、誇張のない形で味わうことのできる演奏となっている。しかも、端正にして、克明な形で。
あまり話題に上ることのない音盤だと言えるかもしれませんが、多くの音楽愛好家に聴いてもらいたい、なんとも素敵な演奏であります。