ムーティ&フィラデルフィア管によるスクリャービンの交響曲第3番≪神聖な詩≫を聴いて

ムーティ&フィラデルフィア管のコンビが1980年代の後半に制作したスクリャービンの交響曲全集から、第3番≪神聖な詩≫(1988年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

絢爛たる色彩に満ちていて、艶やかであり、官能的なまでに耽美な音楽となっています。これらのことは、作品についても、演奏についても当てはまる。
劇的で、壮麗で、ロマンティック。なんともゴージャスでもある。更には、華麗であり、妖艶でもある。これらの点は、ムーティの音楽づくりもさることながら、フィラデルフィア管の体質に依るところが大きいと言えましょう。
しかも、聴いていて、奔流に飲まれるかのような音楽となっています。そう、渦を巻きながら音楽が流れてゆくかのよう。頗るダイナミックであり、ドラマティックでもある。この辺りは、ムーティの志向に依るところが大きいと言えそう。なおかつ、クラクラと眩暈がしてしまいそうなほどに色彩感に富んでいて、鮮やかな音楽となっている。それでいて、恰幅が良くて、豊麗な音楽が奏で上げられている。
そのような中で、第2楽章での清らかな幸福感に包まれたような楽想がまた、実に美しく、かつ、詩情豊かに鳴り響いている。

ムーティ&フィラデルフィア管の美質がタップリと詰まっている演奏。そのうえで、スクリャービンの管弦楽作品を聴く歓びに溢れてもいる。
いやはや、なんとも魅惑的な演奏であります。