マルケヴィチ&ラムルー管によるハイドンの≪太鼓連打≫と≪ロンドン≫を聴いて
マルケヴィチ&ラムルー管によるハイドンの≪太鼓連打≫と≪ロンドン≫(1959年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
マルケヴィチらしい、明晰で鋭利な演奏となっています。或いは、硬派なハイドン演奏だとも言いたくなる。
クスリとも笑わない、いかめしい顔つきをしているハイドン。しかも、キレッキレでシャープで、キリッとした顔つきをしている。
とは言うものの、変に攻撃的になっている、といったことはありません。むしろ、ハイドンによって描かれた音楽世界が克明に再現されている姿を見る歓び、といったような感慨が湧いてくる。それも、かなり峻厳な音楽世界を伴いながら浮かび上がってくる、といった演奏になっていると言えそう。そして、壮麗であり、気宇が大きくもある。
更には、キビキビとしたスタイルから生まれる「ピュアな歓びや愉しみ」といったようなものを備えた演奏だとも表現できるように思われます。そして、そのような演奏ぶりがまた、ハイドンの作品が持っている「純粋な美」に彩られた音楽世界を引き立ててくれていると言いたい。
そのうえで、胸の内に熱い闘志を秘めたものになっている。と言いましょうか、そのような性格が表に出ている、アグレッシブな音楽が奏で上げられている。
なるほど、辛口なハイドン演奏だと言えるかもしれませんが、独特な魅力が秘められている素敵な演奏となっている。更には、カリスマ性の高さが備わっているとも言えそうで、聴き手を惹きつける力が非常に大きい演奏となっている。そのようなこともあって、有無を言わさずに、聴き手をグイグイと引っ張っていく。
いやはや、なんとも見事な、そして、頗る魅力的な演奏であります。