フルシャ&バンベルク響によるドヴォルザークの交響曲第7番を聴いて

フルシャ&バンベルク響によるドヴォルザークの交響曲第7番(2020年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

1981年にチェコのブルノに生まれたフルシャが、自国の作曲でありますドヴォルザークを指揮したもの。オケは、2016年から首席指揮者を務め、現在もその任にある、手兵のバンベルク響。
録音当時は39歳であり、中堅と呼べそうな年齢に差し掛かったところといった感じではありますが、既に自国の名門オケのチェコ・フィルと親密を築いていた他、国際的にも幅広い演奏活動を展開しており、ここでの演奏ぶりも、実に堂に入ったものとなっています。なお、2010年から2017年まで、都響の首席客演指揮者を務めていましたので、我が国の音楽愛好家にも馴染みの深い指揮者の一人だと言えましょう。

さて、ここでの演奏はと言えば、なんとも清々しいものとなっています。とは言うものの、やや遅めのテンポが採られていることもあり、どっしりと構えた演奏が繰り広げられている。そして、仕上がりのとても美しい演奏となってもいる。
音楽が粘り気を持つようなことは微塵もなく、流麗な音楽が奏でられている。それでいて、サラサラと流れてゆく、といった風でもない。バンベルク響の体質に依るところもあるのでしょうが、コクの深い音楽が鳴り響いているのであります。
しかも、緩徐楽章となる第2楽章をはじめとして、晴れやかにして、伸び伸びとした歌いぶりが披露されている。その様は、頗る自然体であり、かつ、健やかさが感じられもする。そのことによって、屈託のなさや、ピュアな美しさや、といったものの漂ってくる音楽となっているのであります。
その一方で、例えば、第1楽章の終結部などでは、熱いテンペラメントが迸り出る演奏が繰り広げられている。また、第3楽章では、律動感に溢れた音楽が、生き生きとした表情を湛えながら奏で上げられている。
また、最終楽章では、常に燃焼度の高い演奏が展開さている訳ではなく(この楽章や、第1楽章は、他の演奏では、熱く燃え滾るような音楽が鳴り響いてゆくことが多い)、むしろ整然とした演奏が繰り広げられているのですが、ポイントポイントで必要に応じながら激情的な表情を見せたり、切迫感を持たせたり、といった音楽づくりが為されています。その様は、40歳を手前にした演奏家の手になるものというよりも、熟練な手さばきを思わされるものとなっている。とは言うものの、ここには瑞々しさ備わっている。それ故に、決して老練な演奏ぶりだ、とは言えそうにないものとなっています。そして、フルシャの感受性の豊かさが滲み出ているとも言いたい。

フルシャの巧みな音楽づくりの光る、聴き応え十分な演奏。そして、とても魅力的でもある演奏。そんなふうに言いたくなる、素敵な演奏であります。