バルビローリ&ハレ管によるマーラーの≪巨人≫を聴いて

バルビローリ&ハレ管によるマーラーの≪巨人≫(1957年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

バルビローリは、知的かつ情熱的な指揮者であると思っています。端正な音楽づくりを施しながら、燃え滾るような演奏を繰り広げてゆくことが多い。
そこへゆくと、この≪巨人≫では、知的な面が優っているように思える。少なくとも第3楽章までは。
目鼻立ちのクッキリとした音楽づくりが為されています。句読点のハッキリとしている演奏だとも言えそう。そのような音楽づくりによって、端正にして調和の取れた音楽世界が出現することとなっている。なるほど、例えば第1楽章の再現部に入る直前で、トランペットがファンファーレを吹き鳴らしながら音楽が高揚する場面(352小節目以降)などでは、大いに高ぶった演奏となっているのですが、総じて、情念的であったり、ドロドロしていたり、といったことの少ない、すっきりとしたマーラー演奏だとも言いたい。
ところが、最終楽章に入ると、一気にボルテージが上がる。そもそもが、この楽章の冒頭部分は嵐が渦巻くような音楽になっている訳ですが、ここでの演奏は、まさに荒れ狂った音楽となっている。音楽がうねりにうねっている。
とは言いつつも、最終楽章での演奏が、全編を通じて熱くなっている訳ではありません。曲想に応じて、第3楽章までの端然とした演奏ぶりを取り戻したり、熱く燃え滾ったりが繰り返される。そのギアチェンジがまた、実に見事。

全体的に言えば、均整の取れている演奏だと言えましょう。そのうえで、作品が持っている息遣いを、しっかりと表してくれている演奏になっている。
ユニークな魅力を湛えた、なかなかに素敵な演奏であります。