レーグナー&ベルリン放送響によるブルックナーの交響曲第7番を聴いて
レーグナー&ベルリン放送響によるブルックナーの交響曲第7番(1983年録音)を聴いてみました。
演奏時間は58分ほど。速めのテンポで、全曲は押し通されてゆく。その結果として、逞しい推進力を備えていて、かつ、颯爽としたブルックナー演奏が繰り広げられることとなっています。
とりわけ、第2楽章でのテンポの速さが際立っていて、印象的でもあります。音楽が粘るようなことがない。過度に神妙になるようなこともない。
更には、清澄でもある。爽やかであり、晴れやかでもある。その空気感は冒頭から既に窺え、全編を通じて貫かれています。
そのうえで、音を打ち込むようにして鳴らすこともしばしば。フレーズの頭をアタック気味に奏でることもある。そのために、音楽に彫琢の深さが与えられることとなっている。
なるほど、決して重量級な演奏ではありませんが、さりとて、軽量級でもない。そう、中量級のブルックナーが、ここに居ます。
奏で上げられてゆく音楽が、勿体ぶるような表情を見せないのも、実に好ましい。ときに溜めを作ることがあるものの、恣意的なものだとは感じられずに、流れが頗る自然でもある。そのようなこともあって、とても真っすぐな音楽づくりが施されていると言いたい。
しかも、気品高くもある。純音楽的な美しさを湛えてもいる。そして、味わい深さやコクの深さにも欠けていない。
晴朗なブルックナー演奏。そのような性格が、この作品にマッチしているとも言えましょう。そのうえで、シッカリとした手応えを感じさせてくれる演奏となっている。
なんとも聴きやすいブルックナー演奏。そして、とても素敵なブルックナー演奏であると思います。
ちなみに、ハース版が使われています。第2楽章でのシンバルとトライアングルは無し。