スウィトナー&シュターツカペレ・ベルリンによるグリーグの管弦楽曲集を聴いて

スウィトナー&シュターツカペレ・ベルリンによるグリーグの管弦楽曲集(1976年録音)を聴いてみました。
収められているのは下記の4曲。
≪十字軍の戦士シグール≫
≪抒情組曲≫
≪ノルウェー舞曲集≫
≪ホルベアの時代より≫

清々しくて、晴れやかで、チャーミングで、しかも生命力豊かで逞しさに満ちた演奏が繰り広げられています。それはもう、充実感いっぱいな音楽となっている。そして、聴いていて幸福感に包まれてくる音楽が鳴り響いている。
総じて、しっとりとしていて、かつ、快活な演奏だと言えましょう。時に憂愁に満ちていて、時に切々と歌い抜き、時に爽やかな風が吹くようであり、時に音楽が嬉々として弾けてゆく。変幻自在な演奏ぶりでありつつも、何もかもが、ごく自然のうちに為されている。そう、全く作為が感じられない。そのうえで、誠に情趣深くて、かつ、典雅な音楽が奏で上げられてゆく。
更に言えば、決して派手な演奏ぶりが示されている訳ではなく、いたって素朴な出で立ちをしていながらも、洗練味を帯びてもいる。そのことが、この演奏に典雅な趣きや、チャーミングな様相を与えてくれているのでしょう。なおかつ、このような性格がまた、グリーグの音楽世界に相応しいと言いたくなる。
そんなこんなのうえで、落ち着き払った表情をしているかと思えば、輝かしさを放射させたりもする。そう、とても生き生きとした演奏が展開されているのであります。しかも、グリーグが描き上げた音楽世界そのままに。そして、暖かみを帯びていて、かつ、非常に人懐っこい表情をした音楽が奏で上げられている。

聴き手に微笑みかけるような音楽。聴き手を優しく包み込むような音楽。しかも、感興豊かで、コクの深さが感じられる音楽が鳴り響いている。そして、グリーグの管弦楽曲の音楽世界を、等身大の姿で感じ取ることができ、かつ、心行くまで楽しむことのできる演奏となっている。
いやはや、実に素敵な演奏であります。