バーンスタイン&ニューヨーク・フィルによるレスピーギの≪ローマの松≫と≪ローマの祭≫を聴いて

バーンスタイン&ニューヨーク・フィルによるレスピーギの≪ローマの松≫と≪ローマの祭≫(1970,68年録音)を聴いてみました。

華やかで、鮮やかで、かつ、力強い演奏となっています。
良い意味で、華美な演奏。いや、煌びやかと言ったほうが良いかもしれません。音楽全体が、キラキラと輝いている。それがまた、この2曲の性格にピッタリ。この2曲に相応しい、カラッとした明るさが感じられもする。
そのうえで、豪放で、豊麗で、エネルギッシュで、気宇の大きさが感じられます。そして、力感に富んでいる。明快な演奏ぶりとなってもいる。その一方で、抒情性の豊かさが前面に押し出されているナンバーでは、ジックリと歌わせてゆく。
そんなこんなによって、目鼻立ちがクッキリとしていて、起伏に富んでもいて、情景描写の巧みさを楽しむことができる。更には、優れたストリーテラーとしてのバーンスタインの美質を窺うことができる。

総じて、見目麗しい演奏だと言えましょう。秀麗だとも言えそう。エキサイティングでもある。なおかつ、情緒豊かでもある。そのような演奏に浸ることによって、オーケストラ音楽を聴く痛快感を味わうことができる。
しかも、そのような要素が率直な形で示されているのが、なんとも尊いところ。
バーンスタインと、(特に、まだ50歳前後だった壮年期真っただ中と言い表せそうなバーンスタインと)、この2曲の相性の良さを実感することのできる、誠に魅力的な演奏であります。