スヴェトラーノフ&ソビエト国立響によるチャイコフスキーの組曲第4番≪モーツァルティアーナ≫を聴いて

スヴェトラーノフ&ソビエト国立響によるチャイコフスキーの組曲第4番≪モーツァルティアーナ≫(1985年録音)を聴いてみました。
この作品は、モーツァルトのオペラ≪ドン・ジョヴァンニ≫の初演100周年を記念して、1887年に作曲された組曲。4つの曲で構成されていまして、全ての曲で、モーツァルトが書いた作品から旋律が引用されています。
各曲で引用されているモーツァルトの作品は、下記の通りであります。
第1曲:≪ジーグ≫Kv.574
第2曲:≪メヌエット≫Kv.355
第3曲:≪アヴェ・ヴェルム・コルぷス≫Kv.618
第4曲:≪グルックの『予期せぬ邂逅、またはメッカの巡礼者たち』の主題による10の変奏曲≫Kv.455
さて、ここでの演奏はと言いますと、輪郭線の克明な音楽づくりによる、骨太にして、逞しさを秘めたものとなっています。
とは言うものの、モーツァルトが書いた作品を素材にしている音楽ということもあって、スヴェトラーノフによる演奏でよく見受けられる豪快な演奏ぶり、といったものが施されて訳ではありません。とても愛らしい音楽となっている。そのようなこともあって、例えば第2曲目では、優美さがきちっとした形で表されている。
それでいて、チャイコフスキーの手によって編まれた音楽ということに依る、ロマンティックな感興といったものを含んだものとなっている。或いは、第4曲目において顕著であるように、躍動感や弾力性といったものが備わっていて、適度な劇性と、適度な愉悦性とを湛えたものとなっている。そのような味わいを、率直に描き上げている演奏が繰り広げられているのであります。
そんなこんなのうえで、骨格のシッカリとした音楽が奏で上げられている。この辺りは、スヴェトラーノフらしいところだと言えましょう。
この作品の味わいと、スヴェトラーノフの美質とが融合している、とても魅力的な演奏であります。





