プレヴィン&ロンドン響によるドビュッシーの≪映像≫を聴いて

プレヴィン&ロンドン響によるドビュッシーの≪映像≫(1979年録音)を聴いてみました。

輪郭線のキッチリとしている、克明な演奏が繰り広げられています。ダイナミックな起伏が取られていて、そのような意味でも、目鼻立ちのクッキリとしている演奏となっている。
そのうえで、とてもカラフルな音楽が鳴り響くこととなっています。それは、原色系とまでは言わないものの、明瞭な色彩で彩っていったものとなっている。とりわけ、終曲の「春のロンド」は、光彩豊かな音楽が奏で上げられている。
更には、「イベリア」では、濃密で妖艶な性格が協調されることとなっている。と言いましても、妖しいというよりは、健康的な雰囲気に支配されているのですが。そのこともあって、「イベリア」の両端に置かれている「街の道と田舎の道」と「祭の日の朝」は、決してはしゃぎ回っているような素振りを見せている訳ではないものの、躍動感に溢れた音楽が鳴り響くこととなっています。
しかも、作品を歪曲するようなことは微塵もなく、率直な視点で作品を描き切っている。そのために、作品の実像といったようなものが自然と立ち上がってくる。そのような演奏になっていると言いたい。

クッキリ・ハッキリとしたスタイルでドビュッシーの音楽を楽しみたい、しかも、虚飾を排した形で、といったことを望んでおられる方には、格好の演奏なのではないでしょうか。
独自の魅力を湛えていながら、大仰な表現が採られるようなことのない、素敵なドビュッシー演奏であります。