レヴァイン&フィラデルフィア管によるマーラーの交響曲第5番を聴いて

レヴァイン&フィラデルフィア管によるマーラーの交響曲第5番(1977年録音)を聴いてみました。
覇気が漲っていて、生気に満ちている演奏が繰り広げられています。豪放でもある。そして、明朗にして豊麗な音楽が奏で上げられている。
とは言いつつも、単に力で押し切るような演奏になっている訳でも、聴き手を煽り立ててゆくような演奏になっている訳でもありません。むしろ、概してゆったりとしたテンポが採られていることもあり、どっしりと構えた演奏が展開されている。
それでいて、例えば第2楽章などでは、推進力の強い演奏となっており、かつ、音楽が存分に渦巻いている。また、最終楽章では、賑々しいと表現したくなるほどに、朗らかにして活気に溢れた音楽が、頗るストレートな形で奏で上げられている。エンディングに向かってグイグイとアッチェレランドを掛けながら、疾駆感豊かに高揚させてゆく様も、ビシッと決まっている。
そのうえで、オケがフィラデルフィア管だということにも依るのでしょう、とても艶やかな音楽が響き渡ってゆくこととなっています。それはもう、艶美だと言っても良いほどに。
艶美という点では、とりわけ悠然としたテンポで奏で上げられている第4楽章のアダージェットにおいて顕著だと言いたい。ここでのアダージェットの演奏は、感傷的であるだけでなく、儚さのようなものが漂ってもいる。であるだけに、他の楽章での活力に溢れている音楽とのコントラストが、いつも以上にクッキリと付いている。
全体的に、あまりドロドロとしていない、ネアカで、屈託がなくて、開放感に溢れたマーラー演奏だと言えましょう。更には、劇的であり、エネルギッシュであり、そして、率直で、伸びやかな演奏となってもいる。そのような中に、決して大袈裟でない範囲でセンチメンタルな要素を加えながら、語り口巧みに奏でられてゆく。
フィラデルフィア管の響きの美しさも相まって、このようなマーラー演奏も「あり」だなと思わせる、独特な魅力を持っている演奏。そんなふうに言いたくなる演奏であります。





