テンシュテット&ロンドン・フィルによるストラヴィンスキーの≪ペトルーシュカ≫を聴いて

テンシュテット&ロンドン・フィルによるストラヴィンスキーの≪ペトルーシュカ≫(1992年ライヴ)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。

テンシュテットによるストラヴィンスキーとは、非常に珍しい。正規録音では、ストラヴィンスキーの作品を一つも遺していないのではないでしょうか。
さて、ここでの演奏はと言いますと、シンフォニックで、かつ、鮮烈なものとなっています。生気に溢れてもいる。
色彩は鮮やか。そのうえで、躍動感に溢れている。
と言いましても、お祭り騒ぎをしながらの、賑々しい演奏とはなっていません。テンポはやや遅めで、決して弾き飛ばすようなこともない。むしろ、じっくりと腰を据えた演奏ぶりだと言えましょう。
そのうえで、活力に満ちた演奏となっている。ダイナミックでもある。
その一方で、第2部の「ペトルーシュカの部屋」や第3部の「ムーア人の部屋」の前半部分などでは、厳粛さのようなものが漂ってもいる。
そんなこんなも含めて、純音楽的な美しさを湛えている演奏だと言いたい。

活力が漲っていながらも、風格のようなものが備わっている≪ペトルーシュカ≫演奏。
作品の魅力と、テンシュテットの魅力とが並立している、素敵な演奏だと思います。