ルイージ&デンマーク国立響によるニールセンの≪不滅≫を聴いて

ルイージ&デンマーク国立響によるニールセンの交響曲全集から≪不滅≫(2022年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。

2022年にN響のシェフを就任したルイージが、2017年からシェフを務めているデンマーク国立響を指揮しての初録音となる音盤。ルイージがDGレーベルにCDを制作したのも、これが初めてのことになりましょう。
同オーケストラにとっては、「お国もの」のニールセンの演奏、ということになります。

さて、ここでの演奏はと言いますと、生彩に富んだものとなっています。
鮮やかにして、逞しい演奏が繰り広げられている。ダイナミックにして、頑健な演奏となっている。どっしりと腰が据わっていて、スケールが大きく、そのうえで、活き活きとしていて、息遣いがしなやかでもある。
しかも、音楽が存分にうごめいている。運動性に満ちていて、推進力が強い。誠に力強い演奏となっています。
それでいて、力で押し切っている訳ではなく、彫琢が深くもある。或いは、峻厳さが感じられもする。更には、広大な地平が広がっているような壮宏な音楽世界を描き出してくれてもいる。この辺りの要素は、ニールセンの演奏には、不可欠なことだと言えましょう。
そんなこんなによって、充実度の極めて高い、雄渾な音楽が鳴り響くこととなっています。
2台のティンパニによる連打も、鮮烈を極めていて、衝撃度はかなりなもの。とは言え、決して乱暴ではなく、毅然としている。

そこここに、ルイージの気魄が透けて見える演奏。そのうえで、≪不滅≫の魅力を存分に味わうことのできる演奏。
いやはや、実に素晴らしい演奏であります。