ベーム&ベルリン・フィル管楽アンサンブルによるモーツァルトの≪グラン・パルティータ≫を聴いて

ベーム&ベルリン・フィル管楽アンサンブルによるモーツァルトの≪グラン・パルティータ≫(1970年録音)を聴いてみました。

堅実で、構成感の強い演奏が繰り広げられています。ベームの美質が、最大限発揮されている
と言いたい。
しかも、速めのテンポが採られていることもあり、キビキビとした運動性が高くもある。気力が漲っていて、推進力に富んでおり、生気に溢れてもいる。そのようなこともあって、モーツァルトの音楽が持っている愉悦感が、クッキリと描き出されることとなっています。
その一方で、ベームらしいと言いましょうか、頑固おやじ然とした表情も垣間見える。腰をジックリと据えながらの演奏で、決してはしゃぎ立てるようなこともない。とは言うものの、その奥からは優しい眼差しが見えてくる、といった演奏ぶりだとも言いたい。思いのほか、しなやかでもあります。そう、あまりゴツゴツとした肌触りとはなっていない。
そのようなベームの音楽づくりに対して、ベルリン・フィルの名手たちは、間然するところのない、流麗にして滑らかなアンサンブルを繰り広げてくれています。しなやかな演奏ぶりは、この辺りからも来ているのでしょう。そして、音色は艶やかにしてまろやか。よくブレンドされた響きが、なんとも美しく、かつ、程よい重厚感を備えている。太い幹のようなものが感じられる音楽が鳴り響いているとも言いたい。その点については、ベームの音楽づくりに依るところも大きいのでしょうが。

貫禄たっぷりで、安定感抜群の演奏。安心して、この作品の音楽世界に身を浸すことができる。しかも、聴き応えが頗る高くもある。
いやはや、実に見事な、そして、なんとも素晴らしい演奏であります。