ヌヴー&イッセルシュテット&北ドイツ放送響によるブラームスのヴァイオリン協奏曲を聴いて
ヌヴー&イッセルシュテット&北ドイツ放送響によるブラームスのヴァイオリン協奏曲(1948年ライヴ)を聴いてみました。
飛行機事故によって、突然の死を迎えることとなったヌヴー(1919-49)。この録音は、その死の前年に行われた、ヌヴーの演奏ぶりを現代に伝える貴重な遺産の一つとなります。
ここでのヌヴーによる演奏はと言いますと、まさに体当たり的なもの。全身全霊で音楽にぶつかっていると言えそうな演奏となっている。そう、頗る激情的な演奏が展開されているのであります。なおかつ、弓をガンガンとぶつけていきながら、気魄に溢れた演奏が繰り広げられている。
そのような演奏ぶりでありつつも、粗さは全く感じられません。むしろ、清澄であり、ピュアな美しさを湛えた音楽となっている。それは、響きにおいても、音楽の佇まいにおいても当てはまりましょう。いや、単に美しいというよりも、崇高さのようなものが感じられる。聴く者の心を揺さぶりながら、そのうえで、心を浄化させるような音楽だとも言いたくなる。
煽情的でありつつも、神々しくて、荘厳な雰囲気を湛えているヴァイオリン演奏だとも言いたい。
そのようなヌヴーに対して、イッセルシュテットも誠実かつ充実感いっぱいな音楽を鳴り響かせてくれていて、シッカリとヌヴーをバックアップしてくれている。その演奏ぶりは、まさに間然とするところがないもの。そんなイッセルシュテットによる演奏ぶりがまた、この演奏を魅力あるものにしてくれています。
これはもう、破格の素晴らしさを持っている演奏であります。