ドホナーニ&クリーヴランド管によるドヴォルザークの≪スラヴ舞曲集≫を聴いて

ドホナーニ&クリーヴランド管によるドヴォルザークの≪スラヴ舞曲集≫全16曲(1989年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

ドホナーニならではの、キリリと引き締まった筋肉質な演奏が展開されています。結晶度の高い演奏だとも言えましょう。
しかも、これまたドホナーニらしいところなのですが、折り目正しい演奏が繰り広げられています。クリーヴランド管による精緻なアンサンブルが、そのようなドホナーニの音楽づくりに磨きをかけてくれているとも思える。それだけに、とても高精度な演奏となっている。
とは言いましても、過度に硬質な印象を受けるようなことはありません。むしろ、ふくよかさや、しなやかさを備えたものとなっている。何よりも、とても生き生きとした演奏となっていて、音楽が豊かに呼吸している。
急速なテンポによるナンバーでは、躍動感があって、小気味良さが前面に出ています。とても明朗でもある。それは、舞曲という音楽にとって、誠に好ましいことだと言えましょう。
その一方で、遅めのテンポを主体とした哀愁を帯びた曲想のナンバーでは、情緒に溺れるようなところは皆無でありつつ、情趣豊かな音楽が奏で上げられています。陰影の濃さが、大袈裟な形ではなく、格調高く描き出されてゆく演奏となっているとも言いたい。
しかも、そのいずれにおいても、頗る丹念な音楽づくりが為されている。
そんなこんなによって、純音楽的な美しさを湛えていつつ、生気に富み、かつ、ノスタルジックな感興を湛えた演奏が繰り広げられているのであります。

ドホナーニ、頗る音楽センスの高い指揮者であると思っているのですが、そんなドホナーニの美質が遺憾なく発揮されている演奏。そのうえで、この舞曲集の魅力を、心行くまで楽しむことのできる演奏となっている。
そんな、なんとも素敵な≪スラヴ舞曲集≫であります。